温泉街の周遊イベント集客は客層別設計で成功する
温泉街で周遊イベントの集客を成功させるには、宿泊客と日帰り客という異なる客層をどう回遊させるかが最初の壁になります。温泉街の周遊イベントとは、外湯めぐりや土産店などの複数スポットを組み合わせ、宿泊客・日帰り客の双方に温泉街全体を歩いてもらう企画のことです。この記事では、温泉街特有の事情を踏まえた企画設計の考え方と費用の目安、参考になる類似事例を解説します。なお、温泉街そのものでの実施実績はまだありませんが、業種の異なる周遊促進の類似事例を参考として紹介しますので、その点をご了承のうえお読みください。

周遊イベントの集客を考える前に押さえておきたい客層の違い
この企画は、宿泊客と日帰り客という滞在時間も行動範囲も異なる二つの客層が混在する点が、他の商業エリアの周遊企画と大きく異なる前提になります。日帰り客は数時間という限られた時間の中で外湯や土産店を回る必要がありますが、宿泊客は複数日・夜間も含めた長い時間の中で周遊できます。この違いを踏まえないと、片方の客層しか楽しめないイベントになってしまいます。まずは客層ごとの動線の違いを整理することから始めましょう。
宿泊客向けと日帰り客向けで参加条件を分ける考え方
宿泊客には、チェックインからチェックアウトまでの間に何度でも挑戦できるような時間的余裕のある条件を設定できます。一方で日帰り客には、短時間でも達成感を得られるよう、少ないスポット数で完結する条件を用意すると参加のハードルが下がります。例えば、宿泊者限定で夜間の外湯にも立ち寄れる条件を加え、日帰り客には昼間に回れる主要スポットのみで景品交換できる条件にするといった分け方です。参加条件を客層別に分けて設計する発想を持つことが、この企画では欠かせません。
外湯めぐりや入湯手形との連携が生む固有の論点
多くの温泉街には外湯めぐりや入湯手形といった既存の周遊慣習があり、新しい周遊イベントはこれと競合させるのではなく組み合わせる設計が求められます。外湯・共同浴場は温泉街における共有資産であり、複数の宿・店舗をまたいで人を動かす自然な動線として、すでに地域に根付いている存在です。しかし、既存の入湯手形などの周遊券がある場合、新規の企画と役割が重複しないよう、スポットの立ち寄り条件や景品交換のタイミングをすり合わせる必要があります。既存の慣習を無視して新しい仕組みだけを導入すると、利用者がどちらに参加すればよいのか混乱し、結果として参加率が伸びません。
そのため企画の初期段階では、入湯手形の対象スポットと新しいイベントの対象スポットをどう重ねるか、あるいはどう役割分担するかを関係者間で話し合っておくことが重要です。例えば、入湯手形は外湯めぐりそのものを目的とし、新しい周遊イベントは土産店や飲食店を含めた街歩き全体を目的とするといった住み分けが考えられます。この住み分けが明確であれば、既存の慣習を持つ利用者にも新しい企画を違和感なく案内できます。

旅館組合が関わる運営で負担をどう抑えるか
この種のイベントは旅館組合や商店会など複数の関係者が関わるため、店舗側の作業を最小限にできる仕組みでなければ協力を得にくいという事情があります。温泉街には個人経営の旅館や土産店が多く、特に繁忙期には人手を割きにくいという背景も見逃せません。参加店舗・施設側に求められる対応を掲示物の設置程度に絞れると、旅館組合単位での合意形成がしやすくなります。実際、参加スポットとなる店舗・施設で必要なのは基本的に掲示物の設置のみとし、利用者からの問い合わせ対応は運営側が引き受けるという役割分担も可能です。
さらに、店舗・施設への参画依頼やオンライン説明会の実施、景品の手配・郵送、利用者からの問い合わせ対応、報告書の作成までを事務局が幅広く担うことができれば、旅館組合の事務局担当者が抱える負担を新たに増やさずに運営できます。企画から運営まで一括でサポートを受けられる体制があれば、旅館組合側は説明会に参加して合意形成を図ることに集中でき、日々の細かな運営業務に追われずに済みます。商店街集客アイデア5選|来客増の実践法でも触れているように、複数の関係者が関わる企画では、負担の分担をあらかじめ設計しておくことが成功の前提になります。
費用の目安は企画期間でどう変わるか
周遊イベントの費用は、開催期間や規模に応じて短期は20万円程度から、中長期は20〜300万円程度が目安になります。料金体系は初期費用・月額利用料がなく、プロジェクトごとの買い切り型です。以下の表で、期間ごとの価格帯を整理します。
| 区分 | 期間の目安 | 価格帯 |
|---|---|---|
| 短期 | 数時間〜 | 20万円程度から |
| 中長期 | 1週間〜数ヶ月 | 20〜300万円程度 |
週末だけの単発イベントであれば短期区分の20万円程度から実施でき、外湯めぐりと連動させた1ヶ月規模の企画であれば実施期間が長いため中長期区分に当たります。また、既存の予約サイトやSNSなど他サービスと連携する場合は20〜30万円程度が目安です。旅館組合として予算を検討する際は、まず開催期間がどちらの区分に当たるかを確認し、そのうえでスポット数や連携したいサービスの有無を整理すると、見積もりの依頼がスムーズになります。
周遊促進の類似事例に見る、スポットを回遊させる仕組みづくり
温泉街そのものの実績はまだありませんが、広域観光地や商店街、単発イベントでの周遊促進の類似事例からは、スポット数や開催期間が異なってもエリア内の回遊を後押しできる仕組みが共通して機能していることがわかります。ここで紹介する3つの事例は業種・形態が温泉街とは異なる類似事例であり、そのまま温泉街に当てはまる実績ではない点にご留意ください。
- 名古屋ぐるっとツアー(公益財団法人名古屋観光コンベンションビューロー、2024年11月〜12月、市内約120スポット・57日間):名古屋観光デジタルマップと連携し、名古屋城や東山動植物園など主要観光地を含む市内周遊を促進しました。
- 円頓寺商店街 宝くじキャンペーン(円頓寺商店街、2024年12月、約40店舗・19日間):購入金額に応じてくじを引ける仕組みにより、商店街での購入促進とイルミネーションイベントとの連動を実現しました。
- 食品ロス削減 リバーパーク in岡崎(愛知県、2025年10月、約20スポット・1日間):来場者を特定エリアから会場全体へ誘導し、食品ロス削減への理解促進につなげました。このイベントはシステム提供のみで、主催者がSNSでの事前配信による集客支援を行っています。
これらの事例に共通するのは、スポットを回ることそのものに景品交換という楽しみを組み合わせている点です。温泉街の場合も、外湯や土産店を回る行為に景品交換という楽しみを掛け合わせることで、同様の回遊効果が期待できると考えられます。観光の回遊性向上を実現する5つの施策と成功のポイントも、回遊性を高める設計を検討する際の参考になります。
でらっくじの紹介と相談方法
スマホでアプリ不要、QRコード・URL・NFCから起動できるため、宿泊客も日帰り客も気軽に参加できます。ポイント制・抽選・現地交換など多彩な景品交換方式から、外湯めぐりや土産店の実情に合わせた仕組みを選べる点も、温泉街特有の事情に対応しやすい特長です。参加者データが自動で集計されるため、手作業での集計作業が不要になり、旅館組合の担当者が抱えがちな事務負担を軽くできます。利用数やスポット別集計、参加者属性が自動集計されるため、次回企画の改善にもつなげやすくなります。
さらに、GPSによる位置情報制限や利用回数制限により、不正利用を防ぎながら安心して運営できる体制も整っています。こうした運営負担の軽減も含めて、企画から運営まで一括で相談できるのが「でらっくじ」です。資料ダウンロードまたはお問い合わせから、企画の規模や期間に応じた相談を進めてみてください。
温泉街の周遊イベントに関するよくある質問
宿泊客と日帰り客で参加条件を分けて設定できますか?
はい、可能です。ポイント制・抽選・現地交換など複数の景品交換方式を選べるため、宿泊者向けには夜間も含めた長い参加期間を、日帰り客向けには短時間で完結する条件を、それぞれ設定できます。
外湯や共同浴場をスポットとして組み込むことはできますか?
QRコード・URL・NFCのいずれかを設置できる場所であれば、外湯や共同浴場もスポットとして組み込めます。既存の入湯手形の対象スポットと重複しないよう、立ち寄り条件をすり合わせて設計することをおすすめします。
旅館組合や商店会が窓口になる場合、各旅館・店舗の負担はどの程度ですか?
参加店舗・施設側で必要な対応は、基本的に掲示物の設置のみです。利用者からの問い合わせ対応は運営側が引き受けるため、繁忙期でも人手を割きにくい個人経営の旅館・土産店でも協力を得やすくなります。
繁忙期を避けて閑散期に開催することもできますか?
開催時期は自由に設定できます。閑散期の集客底上げを目的にするか、繁忙期の周遊促進を目的にするかによって、参加条件やスポット数の設計を変えることをおすすめします。
宿泊予約が入らない平日に、旅館の温泉利用者以外も参加できる形にできますか?
可能です。参加条件をQRコードやURLの読み取りのみに設定すれば、宿泊の有無にかかわらず誰でも参加できます。平日の日帰り需要を掘り起こしたい場合は、日帰り入浴施設や土産店を中心にスポットを組むといった設計も検討できます。
料金の目安はどれくらいですか?
シンプルな短期企画であれば20万円程度から導入可能です。1週間〜数ヶ月の中長期企画では20〜300万円程度が目安となり、規模や期間に応じたお見積りも承ります。
まとめ
温泉街での周遊イベントの集客は、宿泊客と日帰り客の動線の違い、外湯めぐりなど既存の慣習との連携、旅館組合を中心とした関係者の負担軽減という特有の事情を踏まえて設計することが、集客の頭打ちを打開する鍵になります。要点を整理すると、次の3つが軸になります。
- 宿泊客と日帰り客で参加条件を分け、双方が無理なく楽しめる導線を用意すること
- 外湯めぐりや入湯手形など既存の慣習と役割を重複させず、すり合わせて設計すること
- 店舗側の対応を掲示物の設置程度に抑え、旅館組合の合意形成と事務局負担を軽くすること
なお、この記事で紹介した名古屋ぐるっとツアーや円頓寺商店街、リバーパークin岡崎は、いずれも温泉街とは業種・形態の異なる類似事例であり、温泉街そのものでの実施実績はまだありません。それでも、スポットを回る行為に景品交換という楽しみを組み合わせる仕組み自体は、温泉街の周遊イベントにも応用できる考え方です。企画の規模や期間に応じた費用感を踏まえたうえで、資料ダウンロードやお問い合わせから具体的な相談を進めてみてください。景品の提供にあたっては、消費者庁が所管する景品表示法の規制範囲も事前に確認しておくと安心です。
